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安東泰志氏 ニューホライズンキャピタル株式会社 取締役会長兼社長 |
今までの連載で、PEファンドの実態、PEファンドを運営する立場から見た日本企業のガバナンス(統治)等の問題点、そして日本の企業金融を抜本的に改善するための提言などに触れてきました。また、この連載と並行して、各方面の方々と議論を重ねてきました。 日本の資金の流れを見直し、現在国が大半を吸い上げてしまっている家計部門の金融資産の一部を独立系のPEファンドに回るようにすることが、「日本の企業金融を円滑化し、企業のガバナンスを向上させ、成長を促し、さらには家計部門を潤す」といった好循環を生むものであることについては、おおむね理解を得られてきたと感じています。特にその第一歩として、ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険・公的年金など政府系機関が預かる約500兆円にのぼる巨額の金融資産の運用の一部を、諸外国なみにPEファンドに振り向けることによって、政府による予算措置の不要な大きな経済対策が可能になることについても、理解が進んできたように思います。
一方で、議論の過程で明らかになってきたのは、日本ではかなり初歩的・基礎的なレベルでPEファンドに対する誤解がまだ残っているという事実でした。
筆者がこれまで接した代表的な誤解は、以下のようなものでした。いずれも基礎的な知識の不足によるものなのですが、我々としても理解を得るべく、より一層の努力をしなければならないと感じました。今回は、過去の連載も引用しつつ、これらの誤解に答えてみたいと思います。
(誤解その1)PEファンドは「ハゲタカ」。経営者の敵である
(誤解その2)PEファンド運営者は金融機関系が安心である
(誤解その3)日本のPEファンドには実績がない
(誤解その4)年金等の運用資産にPEファンドを加えるとリスクが高まる
(誤解その5)企業金融の円滑化は金融を緩和し、銀行の尻を叩けば可能
1 PEファンドは経営者の敵か
連載第1回でご説明したように、投資ファンドとひとくくりにされているものの中には、様々な種類があります。
例えば投資信託も投資ファンドですし、サブプライム問題等で注目を集めたヘッジファンドも投資ファンドです。ただし、これら2つの類型は主に市場を相手にするものであって、経営に深く介入することは稀(まれ)だと思います。近年コーポレートガバナンス議論の深まりと相まって、大株主全般に、平常からの経営陣との対話や総会での積極的な議決権行使が序々に進んでいます(連載第10回・21回)。
これに対し、経営に関与する形として、アクティビストファンドとPEファンドがあります。アクティビストファンドは多くの場合、市場で企業の株を買った上で、株主からの要求という形で、経営者に「外部から」「株主利益を極大化」するよう圧力をかけていきます。
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