■注意深く配慮して仕事をさせることが求められる
中間管理職への仕事の集中は、一面では、若年労働者が成功したり失敗したりする機会を奪っているのかもしれません。思えば、これまでのキャリア形成につながる成功や失敗は、上司が上手に企図しバックアップした結果にすぎなかったとも言えます。本人が自分の力で「一皮むけた」と思っているのも、客観的には上司や周囲の支援の賜物なのでしょう。
それでも、これらを自ずと経験できた中高年齢者と異なり、現在の若年労働者はストレス脆弱性も著しいという世代としての特徴を持ちます。大したことないと思われる修羅場であっても、若年労働者にとっては負荷も過重である可能性もあります。かつてと同じような経験をさせることが適当とも思われません。
一方で、ストレス耐性を真につけるためには、「甘やかす」のではなく、「仕事をさせる」ことも方法の1つでしょう。このため、管理職は若年労働者に対し、十分に注意かつ配慮して、仕事をさせることが求められます。意外にも、これまでは無意識のうちにも、このような適切な人事権(管理職権限を含む)の行使はなされていました。しかし、近年は、成果主義人事のせいか、このような意識がやや薄れているのかもしれません。
もちろん、恒常的な長時間労働は、強く抑止すべきです。また、休日のない連続勤務には注意する必要があります。そのような配慮をしつつ、特に正社員については、一時的な長時間労働によって「一皮むける」チャンスを作っていくことになるのでしょう。おそらく、適切な配慮をすれば、36協定に関する上限基準の範囲内で足りると思われます。形式的な法理解や法令遵守にとどまるのではなく、ややリスクを冒しても、労使双方が人材育成の機会を活かし、むしろ作り出していくことが求められているのでしょう。