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山崎 秀夫氏
野村総合研究所 社会ITマネジメント コンサルティング部 シニア研究員
執筆者詳細
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第10回「セカンドライフでぼっ発するか“ばら戦争”」(2007/07/02)
2006年の春ごろからセカンドライフへの企業進出が見られ始めた。これまで欧米企業は仮想社会のセカンドライフを主に、「自社ブランドの確立目的で活用してきた」と言われていた。そのため自社のブランドにふさわしい仮想のテーマパークが多数作り上げられている。顧客に自社の商品やサービスの方向性、コンセプトを示しファンになってもらうという、「巻き込み効果」を狙ったアプローチである。仮想ディラー網を立ち上げた米ゼネラル・モーターズ(GM)のポンティアック販売部門や、北米日産などのアプローチがそれにあたる。放送のウェザーチャネルが立ち上げたウェザーアイランドなども同様である。具体的な販売よりも、ブランドの消費者への浸透に重点がある。
現実社会とは異なる仮想社会のペルソナ(人格)
一方、米カジュアル衣料製造販売のアメリカンアパレルなどが試みた現実社会での商品販売は、明らかな成功事例はいまだ出現していないとされてきた。
その理由は一体、何であろうか。セカンドライフは現実世界とは別のペルソナ(人格)を持つ仮想社会である。そのためいきなり現実社会の商品をそのまま持ち込んで、人格としてのアバターにではなく、現実社会の人に売り込んでも、ビジネスは難しいと考えられるのである。
これは映画「釣りバカ日誌」に出てくるハマちゃんとスーさんの関係を考えてみると良く分かる。釣りを楽しんでいる場面で、2人に勤め先である鈴木建設のビジネスの話をしても、嫌がられるだけである。釣りをしている時と仕事をしている時には、活用するペルソナ(人格)が異なるためである。
スイスコムの「花とチョコレート」の通販に注目
ところが、スイス通信大手のスイスコム・グループがこの春、セカンドライフで提供を開始した「花とスイスチョコレート」の通信販売が、面白い試みとして注目され、評判を呼んでいる。
スイスはチョコレートの生産で有名な国であるが、花も美しい国である。スイスコム・グループはこの春、スターフルートと呼ばれる仮想の花屋とチョコレート屋を立ち上げ、セカンドライフで以下のサービスを始めた。
まず彼らはセカンドライフに花屋の屋台を作り上げた。一見すると何がしたいのか良く分からない屋台である。しかし近くの説明版をクリックすると突然、贈答用の花と贈答用のチョコレートが現れる(写真上)。
そしてそれらには、以下のような説明書きが添えてある(写真下)。
スターフルートのビジネスの仕組みは以下のようになっている。
| 1. | ロミオ(男性)はセカンドライフでジュリエット(女性)のために花束を買う。ロミオとジュリエットは仮想世界におけるアバター同士の付き合いでしかない。そして花束は約19000リンデンドルの値段で売られている。この料金には現実に本物の花を届ける値段が含まれている。
| | 2. | ロミオはセカンドライフでのデートでジュリエットに花束を手渡す。セカンドライフにおけるアバターとしてのジュリエットは喜ぶ。
| | 3. | さらにリアルのジュリエットは花束をクリックして実際の住所を入力する。
| | 4. | 本物の花束がリアルのジュリエットに実際に届く。その結果、リアルのジュリエットも喜ぶという仕掛けである。
| | 5. | チョコレートにも同様のアレンジが可能である。
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