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箭内 昇氏
アローコンサルティング事務所 代表
執筆者詳細
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第83回「時限爆弾化するアメリカ――サブプライムローン問題は世界不況の前触れ?」(2007/09/11)
筆者のビジネスマン人生は、アメリカ経済の衰退やドル凋落(ちょうらく)の歴史とぴったり符合する。表1、2は、筆者が70年に長銀に入行してビジネスマン人生をスタートしてから今日までの、36年間のアメリカ経済を俯瞰(ふかん)したものだが、構造変化は誰の目にも顕著だ。
異常な個人消費と軍事費がけん引するいびつな成長
第1に、好況が続くアメリカ経済も、実態は次のとおり脆弱(ぜいじゃく)で不健全である(表1参照)。
| 表1 需要項目別にみたアメリカのGDP構成比 | | (%) | | | 1970 | 1980 | 1990 | 2000 | 2006年 | | 個人消費 | 62.4 | 63.0 | 66.2 | 68.7 | 70.0 | | (うち耐久消費財) | 8.2 | 7.7 | 8.2 | 8.8 | 8.1 | | (うち非耐久消費財) | 26.2 | 25.0 | 21.5 | 19.8 | 20.5 | | (うちサービス) | 28.1 | 30.4 | 36.5 | 40.0 | 41.4 | | 民間投資 | 14.7 | 17.2 | 14.8 | 17.7 | 16.7 | | (うち住宅) | 4.0 | 4.4 | 3.9 | 4.6 | 5.8 | | 純輸出(外需) | 0.4 | -0.5 | -1.3 | -3.9 | -5.8 | | 政府支出 | 22.5 | 20.3 | 20.3 | 17.5 | 19.1 | | (うち軍事費) | 8.4 | 6.0 | 6.4 | 3.8 | 4.7 |
| | (Bureau of Analysisのデータより作成) |
| (1) | 経済成長のけん引車は個人消費であり、特に80年代以降は国内総生産(GDP)に占める割合が急増して、今や実に70%という異常な水準(日本は2006年度55.2%)。中でも医療費と住居費の伸びは顕著で、データは割愛するが、例えば医療費は80年からの26年間で8.6倍に急増し、今や個人消費の最大項目(この間GDPの伸びは4.7倍)。 | | (2) | 一方、貿易赤字の急増は経済成長のマイナス要因となっているが、個人消費の伸びがこれを相殺するという構造。 | | (3) | 財政支出は、クリントン時代の軍縮で軍事費が急減したが、アフガン・イラク戦争後再び急増し、GDPを大きく押し上げている。一方では当然ながら、財政赤字の拡大要因に。 |
主役は製造業から金融・不動産業に交代
アメリカ経済の第2の構造変化は、80年代以降急速に経済のソフト化が進展し、今や金融業と不動産業が国家の大黒柱になったことだ(表2参照)。
| 表2 産業別にみたアメリカのGDP構成比 | | (%) | | | | 1970 | 1980 | 1990 | 2000 | 2006年 |
民
間
部
門 | 農業 | 2.6 | 2.2 | 1.7 | 1.0 | 0.9 | | 鉱業 | 1.4 | 3.3 | 1.5 | 1.2 | 1.9 | | 電力・ガスなど | 2.0 | 2.2 | 2.5 | 1.9 | 2.0 | | 建設業 | 4.8 | 4.7 | 4.3 | 4.4 | 4.9 | | 製造業 | 22.7 | 20.0 | 16.3 | 14.5 | 12.1 | | 卸売業 | 6.5 | 6.8 | 6.0 | 6.0 | 6.0 | | 小売 | 8.0 | 7.2 | 6.9 | 6.7 | 6.5 | | 運輸・倉庫 | 3.9 | 3.7 | 2.9 | 3.1 | 2.7 | | 情報 | 3.4 | 3.5 | 3.9 | 4.7 | 4.4 | 金融・保険 ・不動産・リース | 14.6 | 15.9 | 18.0 | 19.7 | 20.8 | | 専門的サービス | 5.4 | 6.7 | 9.8 | 11.6 | 11.8 | | 医療・教育 | 3.9 | 5.0 | 6.7 | 6.9 | 7.8 | | 娯楽レジャー | 2.8 | 3.0 | 3.4 | 3.6 | 3.6 | | その他サービス | 2.6 | 2.2 | 2.5 | 2.3 | 2.2 | | | 政府部門 | 15.3 | 13.8 | 13.9 | 12.3 | 12.4 |
| | (Bureau of Analysisのデータより作成) |
| (1) | 製造業の地盤沈下は著しく、データは割愛するが2005年の自動車産業のGDPへの寄与率はわずか0.8%。もはやトヨタがGMを凌駕(りょうが)しても国民は騒がないだろう(政治的ポーズは別として)。 | | (2) | 一方、特に80年代以降の金融・不動産業は驚異的に進展。データは割愛するが、中でも証券業などの投資業務は80年からの15年間で14.6倍、ファンドビジネスは16.3倍と急拡大(この間のGDPの伸びは4.7倍)。この結果、金融・不動産業のGDP構成比は20%超とアメリカ最大の産業に躍進。アメリカでは金融と不動産は一心同体である。 | | (3) | 弁護士やコンサルタント、さらには企業経営などの専門的サービス業も同期間で7.8倍に急拡大しているが、この背後にも金融・不動産業の隆盛があると推測。 |
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