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原田 泰氏
大和総研 常務理事チーフエコノミスト
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第81回「大阪府はなぜ財政再建できたのか」(2009/03/09)
10年連続で赤字だった大阪府の一般会計が、2009年度には黒字に転じると報じられている(2月10日付各紙)。黒字に転じるのは、一般会計、特別会計、企業会計に分かれている大阪の財政のうちの、一般会計の部分だけだが、それにしてもこれは08年2月16日に就任した橋下徹知事が、わずか1年で達成した“快挙”と言ってよいだろう。なぜ、わずか1年で、このようなことが可能になったのだろうか。
黒字に転じたと言っても、財政のどの部分の黒字なのか、報道や大阪府のデータでは分かりにくい。しかし、一般会計部分の府債残高のデータは示されており、これが2008年度に減少に転じているので、財政が再建に向かっていることは確かである。府債残高が減少しているとは、府債がネットで償還された訳で、財政が再建できたことを意味する。ただし、府債残高は09年度には再び増加すると見込まれており、報道とはちぐはぐな結果となっている。
さらに大阪府の資料によると、09年度は歳入が増大することになっている。現下の経済情勢を考えると、本当にこのように歳入が伸びるのかに疑問はある。しかし、世界経済危機も不況も、大阪単独ではほとんど対処できないもので、知事がコントロールできるのは歳出だけだ。だから、知事がどのように歳出を削減したかが、知事の手腕と言えるだろう。
橋下知事は何を削減したのか
橋下知事は、08年2月に就任した直後、前任者の時代にほぼ固まっていた08年度予算を削減した。そこで、橋下知事と関わりのなかった07年度の歳出と08年度、09年度の歳出とを比べることにしよう。
図は、大阪府一般会計歳出の項目ごとの動きを見たものである。図にみるように、人件費は、2007年度の9194億円から2008年度には8801億円と4.3%低下しているが、09年度にはさらに2.4%低下して8586億円となっている。
公債費(利払い費と償還費)は絶対に払わなければならない項目で、歳入と歳出の差として結果的に決まるものだから、議論しても仕方がない。ちなみに、公債費には利払い費と償還費の両方が含まれているが、大阪府のデータでは内訳が長期的には整理されていない。
生活保護費などの扶助費はむしろ増えている。しかし、そもそも、扶助費はわずかであり、府の財政に大きな影響は与えない。ただし、大阪府が直接生活保護行政を行っている訳ではなく、府の補助費が市や町の行政を支えている。補助費には、行政機関以外の団体にも支出されている。その補助費は減少している。
建設事業費は08年度に大きく減少したのち、増加している。
貸付金は増大している。貸付金とは、空港会社、住宅公社、鉄道会社など府の関係会社や関係団体に対する貸付金だ。貸付金はかなり大きい。07年度で5048億円と、公債費の3116億円よりも大きい。すると、府は、一方で多額の借金があると同時に、多額の財産を持っていることにもなる。ただし、この財産のかなりの部分は目減りしているのではないかと思われる。