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馬場 錬成氏
東京理科大学知財専門職大学院教授、科学ジャーナリスト
執筆者詳細
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第42回「『Winny』開発者逮捕が問うネット社会のルール作り」(2004/05/14)
違法性の認識が焦点
摘発に動いた京都府警は、助手の開発したソフト自体は素晴らしいと評価しており、「ウィニーを開発したことで逮捕したものではない」と断っている。違法に利用されることを認識していながら、長期間ウィニーの利用を可能な状態にしていた点を「ほう助」としたものだ。
時事通信によると逮捕された金子容疑者は調べに対し、「結果的に自分のやった行為が法律とぶつかってしまうのなら仕方がない。違法コピーに企業自身の努力で対応しようとしない現状を崩すためには、ネット上で違法コピーをまん延させるしかないと思った」と供述しているという。これが事実としたら金子容疑者は、かなりピントがずれていると言わざるを得ない。
大学院助手なら立派な研究者だ。ネット上に違法コピーができるソフトを公開するのではなく、ソフト開発者からみた法制度の抜け穴や著作権法の不十分さ、企業の対応などに警告を発するメッセージや論文を学会や各種のメディアを通じて堂々と主張するのが筋である。違法コピーの手助けなどという破廉恥な容疑を持たれること自体、研究者として失格である。
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などによると、ファイル共有ソフトの利用者は、推定で200万人いるとも言われている。ウィニーの登場によって、レコード会社の総生産額は毎年減り続けていると推測されており、2003年は1998年の約3分の2の4,000億円にまで落ち込んでいる。
ウィニーはサーバーを介さないで情報を簡便に交換できるソフトであり、使い方次第では情報交換の有効なツールになる。逮捕された助手が起訴され公判になれば、助手がどこまで違法性を認識し故意に公開していたかどうかが焦点になる。世界の注目を集める刑事裁判になるだろう。